モノクロフィルム現像の準備と進め方

 

前回の謎のテンションの投稿から数日、あれこれ書くことを悩んでいたら(悪い癖)永遠に次がなさそうなので、見切り発車で「モノクロ現像」について思い出しながら筆(タイピング)を進めます。

 

さて、モノクロフィルムの「現像処理」をするにあたり、再度お伝えしておきます。

「現像」というのは、フィルム上に「像を現す」作業であり、写真としてプリントすることではありません

 

 

上の黒い状態が未現像のフィルム。これを下のフィルムのように「像が現れた状態」にすることが現像という作業です。

ちなみに右上の「フィルム」と呼びたくなる円柱状のものは「パトローネ」と言います。よく出てくるので覚えておいてね。

 

詳しい準備品や工程の前に全体像を把握しよう

 

0.薬品をそれぞれ適切に作る。特に温度が大事。基本的に20℃で使用する。

1.光に当たらない状態でフィルムをパトローネから出してタンクの中に入れる

2.現像液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、現像液を排水する。

3.停止液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、停止液を排水する。

4.定着液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、定着液を排水する。

5.タンクを開けて水洗する。流水でこれまでの薬品を全て洗い流す。

6.フィルムに水滴がつかないように素早く乾燥させる。

 

準備するもの

準備品ですが、細かいことを言い出せばかなりたくさんあります。そして諸説あります。

100均で代用できるものもあるので、ヨドバシカメラなどの白黒コーナーで探して代用品を探してみるのも楽しそう。

 

現像タンクとリール

これがないと残念ながら始まらないが結構お高い。100均にはまずないので探す必要もない。
右のリールにフィルムを巻き付けて、左のタンクに入れるまで光の入らない暗闇で行う必要がある。
タンクの蓋の上の小さい蓋が取り外し可能でここから液の注水、排水を行う。
蓋の上の小さい蓋を取っても感光しない。しかし古い機材だと、タンク自体の蓋が開きやすいものもあるため、そこは本当に要注意。リールが2つ以上入るタンクもあり、数本まとめて現像できる。

 

フィルムピッカー

完全に巻き終わったパトローネからフィルムを先端数センチだけ出してくれる魔法のような機材。
手順があるが慣れればどうってことはないので大丈夫。
フィルムを数センチ出すことを「ベロを出す」という。早速次の1行目に出てくる。
*ベロは出したあと、ハサミで綺麗にパトローネの長辺と平行に切り落としておくこと

 

ダークバッグ

まずは下のチャックからベロを出したパトローネとタンクとリールを入れて、チャックを閉める。左右から腕を入れて完全に中が見えない状態でパトローネからフィルムを出し、リールに巻き付けそれをタンクに入れるまでを行うブラックボックス(袋)。慣れるまでは袋無しで練習して目をつぶって出来るようになったらこの袋の出番。リールの巻きに失敗すると現像ムラが出来る。
しかし全ての工程が終わるまでは結果がわからないため、失敗は許されない。最大の難関と言える。

 

薬品系

今回は富士フィルムのACROS100を現像するので、富士フィルム縛りで現像をしてみたいと思います。
印画紙は今後撤退ですが薬品系の販売は継続予定とのこと。とはいっても、いずれその流れからは逃れられないか…。
薬品系は画像クリックでヨドバシドットコムへのリンクを貼っておきます(僕にインセンティブ入りません)

 

現像液:富士フィルム ミクロファイン


フィルム用超微粒子現像剤です。粒状性は極めて良好。
35mmフィルムから四切程度の引き伸ばしでほとんど粒子の粗れを感じさせない。
少し現像時間は長め(10分程度)。せっかくの超微粒子を活かすためにもミクロファインを選択。

 

停止液:富士フィルム 富士酢酸


アルカリ性の現像反応をこの酢酸で止めてしまうという化学反応。
暗室に入ったことのある方はよく覚えているであろうあの独特のすっぱい香りの元。
ヨドバシドットコムで税込み802円(2018/4/25)。

 

定着液:富士フィルム スーパーフジフィックス


「フジフィックス」と「スーパーフジフィックス」があるが圧倒的にスピードの速い「スーパーフジフィックス」を選択。
この液体の状態でヨドバシドットコムでは1,000円。何でも揃うヨドバシ最強説。
粉末を溶かしてもいいけど、初心者や出戻り組は液体で問題なし。慣れた後でこだわろう。

 

水洗用:富士フィルム 水洗促進剤(クイックウォッシュ)


通常20分程行う水洗を5分で終わらすやばい(やばくない)青い粉。72円。やばい(やばくない)。
よくブルーハワイって言ってた。
水洗は非常に大切な工程で水洗不足だとフィルムに白い点が付き、後で取り除くことは不可能。是非使いたい。

 

水切り剤:富士フィルム ドライウェル


この薬品を200倍くらいに薄めて30秒ほどつけて乾燥させると水切れが飛躍的に速くなる。
水切れが悪いとフィルムに変な模様のように残るので、こちらもぜひ使いたい。

 

その他:薬品入れや小物をまとめてご紹介

 

薬品ボトル・・・危険な薬品である現像液を入れておく。

漏斗(ろうと)・・・100均でなるべく口の広いものを買いましょう。

温度計・・・基本的に現像液、停止液、定着液は全て20℃が基準。壊れにくいステンレス製や、見やすいデジタル温度計を。防水で。

フィルムクリップ・・・フィルムを乾燥させるために吊るす際に使用。上下にはさむ。適度な重量が必要。洗濯ばさみは少し不安。

ビーカー・・・1リットル用のものが100均である。現像液、停止液、定着液用に3つは必要。大きいボトルからタンクに入れるのは非常に危険なため、薬品を1度ビーカーに入れそこからタンクに注水すること。

タイマー・・・防水のものを。スマホでも代替可能だが濡れた手で触るのはちょっと抵抗があるので。

手袋・・・使い捨てのもの。

エプロン・・・現像液は服に付くと2度と取れない。まずは汚れてもいい服、その上からエプロンで。

 

 

ついに、現像の手順を

さぁ、いよいよ現像のお時間です。

*今回はフィルムは「ACROS100」、現像液は「ミクロファイン」、停止液に「富士酢酸」、定着液は「スーパーフジフィックス」を使用しての説明を行います。また、水洗促進剤として「クイックウォッシュ」、乾燥ムラを防ぐために「ドライウェル」を使用します。予めご了承下さい。

 

改めて工程の確認です。

0.薬品をそれぞれ適切に作る。特に温度が大事。基本的に20℃で使用する。

1.光に当たらない状態でフィルムをパトローネから出してタンクの中に入れる

2.現像液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、現像液を排水する。

3.停止液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、停止液を排水する。

4.定着液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、定着液を排水する。

5.タンクを開けて水洗する。流水でこれまでの薬品を全て洗い流す。

6.フィルムに水滴がつかないように素早く乾燥させる。

順を追って簡単ではありますが説明させていただきます。

 

1.光に当たらない状態でフィルムをパトローネからリールに巻き、タンクの中に入れる

未現像のフィルムに光を当ててしまうと、これまでの撮影が一瞬にして無になってしまいますので、必ず「暗室」の状態にして行う必要があります。
とはいっても、真っ暗な部屋で行うわけではありません(やってもいいですが)。

 

2.現像液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、現像液を排水する。

撮影することによってフィルムなどの感光材料の表面の層で感光したハロゲン化銀を、金属銀に還元する作用をもち、この作用を現像と呼びます。
さて、タンクの上部より事前に説明書き通りに作成した水温20℃の現像液(今回はミクロファイン現像液)を丁寧に注ぎ込みます。ビーカーを使用すると綺麗に注水、排水できます。
現像ムラを防ぎ、均一な仕上がりを得るために最初の1分間は連続撹拌します。
その後は1分ごとに5秒間ずつ、計10分間繰り返します。終了後、速やかにビーカーに排水し、次の行程に移りましょう。
フィルムに気泡がつくとそこに現像ムラができるので、それぞれの撹拌の最後に机にコンコンと当てて気泡を取りましょう(見えないけど大事です)。

 

3.停止液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、停止液を排水する。

現像ではアルカリ性の作用により進行しましたが、その作用を止めるのが酸性の停止液(酢酸)です。
暗室のあの独特のにおいはほぼこの酢酸のにおいとっても過言ではありません。つまり、僕らにとっては懐かしいにおい。
停止液はおよそ2分行えば問題ありません。これも連続撹拌しながら、時間が来たら排水しましょう!さざ、あと一歩!

 

4.定着液を注水し指定の時間、撹拌する。その後、定着液を排水する。

定着液は画像を安定化します。つまり、フィルムや印画紙に残留した未感光のハロゲン化銀を除去し、画像を形成する還元された金属銀を残して、光によってそれ以上の変化が起きないようにします。
この一連の銀の化学反応がフィルムや印画紙が「銀塩」と呼ばれる所以でもあるのです。凄く小さな世界で大変な化学反応が起こっているのです。

さて、定着を怠ると残留したハロゲン化銀がすぐに黒ずみ、画像の曇りを引き起こすので注意です。慎重な方は第一定着、そして第二定着を行うほどです。
最初の1分間は連続撹拌、そしてその後は1分ごとに30秒ほど撹拌し、合計3分ほど定着液に浸しましょう。
終了次第、水洗です。

 

5.タンクを開けて水洗する。流水でこれまでの薬品を全て洗い流す。

本格的な水洗の前に予備水洗を行います。タンクの蓋を開けて1分間ほど流水を注ぎ、これまでの薬品を簡単に洗い流します。
その後リールを出してクイックウォッシュ溶液に1分ほど浸して、その後本格的に水洗します。水洗は蓋をはずしたタンクに入れて行いましょう。
このクイックウォッシュという液体は通常20分程行う水洗を5分で終わらす青い粉を溶かしたものです。ヨドバシで72円(2018/4/20現在)。
水洗はこれまでの工程で付いた薬品を洗い流すものですが、水洗不足だとフィルムに白い点が付き、後で取り除くことは不可能なので5分と言わず10分くらい流しましょう。

 

6.フィルムに水滴がつかないように素早く乾燥させる。

十分に水洗をしたら、最後にドライウェル溶液に浸して、フィルムをリールからはずし、長いフィルムを高い所から吊り下げて乾燥させます。
はやる気持ちを抑えて、フィルムの下に重りをつけ、ピンとはった状態で乾燥させることが大切です。
(ドライウェルはフィルムから水滴を素早くとるための薬品です)

ここで初めて自分が撮影し、現像を行った結果を見ることができます。長い…長いぞアナログ!デジタルなら一瞬でできることに時間をかけてここまできました。
ぜひじっくり眺めましょう。露出ミスがあったり、現像ムラがあるかもしれませんが、次に活かせばいいのです。


と、いうことで、長くなりましたがフィルム現像について書き連ねてまいりました。疲れました。
ぜひ興味のある方はネットなどでよく調べて挑戦してみて下さい。
ちなみに薬品は台所やお風呂場に流してはいけません。
産業廃棄物として手順を踏んで廃棄物処理業者に依頼し廃棄する必要があります。

環境に配慮し、楽しいフィルムカメラ現像を行いましょう!

次はプリントに挑戦します!